東日本大震災から5年が経ちました。
「あの日あの時間、どこで誰と何をしていた?」
「たまたま保育園を休んで、おばあちゃんの家で遊んでいたら突然揺れて机の下に隠れた。」
「保育園の部屋の真ん中にみんなで小っちゃくなって集まった。」
「下校中に地震がきて、小学校に戻った。」
一年生は当時2歳、震災時の記憶がない子も少なくはありません。
昨年11月に指導員が大川小学校を訪問した際に撮影した写真をスクリーンに映しだすと、
「これが小学校?廃墟みたい。」
むき出しになった天井、倒壊した渡り廊下、ぐにゃぐにゃに曲がった鉄筋、吹き飛ばされたコンクリート塀・・・子どもたちは、写真の一枚一枚から津波の恐ろしさを感じとっていました。
後半は、大川小学校の周辺の地理を説明したうえで、自分が大川小学校の児童だったらどのように避難するかを考える時間を設けました。
「裏山に逃げる」と選択した子がほとんどで、その理由は、
「山は土砂崩れの危険性もあるけど、高いところにいた方が安心だから。」
「川がある方向は津波がくるから危険。近づかないほうがいい。」
というものでした。
津波がくるときは高台へ逃げる。とにかく逃げる。
当時小さかった子どもたちも、5年前の教訓を得ていることが分かります。
大川小学校の先生たちは、川に架かる橋近くの高台を目指して避難誘導しますが、ほとんどの人が津波に呑み込まれて亡くなってしまいます。
「山に行っていればたすかったのに、山に行かなかったのは『先生でもこわいからかな。』とかんじました。」
プログラム後に、2年生の子が書いた感想です。
正しい判断だったか否かは“後”にならないと分かりません。
ですが、正しい判断をするためには、正しい知識を身につけることが必要で、知識は過去の失敗例や成功例から得ることができます。
「自分の町のことをよく知ることが必要だと感じた。」
「自分のはんだんでうごかなければいけないときがあるということが分かった。」
「亡くなった多くの命はもどせないけど、むだにしないようにいろんな取り組みをしたい。」
過去の事例から学び、子どもたちが自分の身を自分で守ることができるよう判断力を養う場面を作っていくことが、私たち大人の責任であると感じています。
いつどこで起こるか分からない災害に備え、常に防災意識を持つことの重要性を、一人一人が改めて意識することができたことと思います。
(金沢八景YMCA学童クラブ 渋谷萌子)